歯科のSEO対策|医療広告規制と限定解除・キーワード・口コミの扱いまで解説
歯科医院のホームページを作ったのに新患が増えない。インプラントや矯正のページをどこまで書けるのか分からない。口コミの扱いも不安。そう悩んでいる院長やWeb担当者の方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、歯科医院のSEO対策は自院のホームページが医療法上の「広告」だという前提から始まります。そのうえで限定解除の要件を満たして情報を充実させるのが基本の進め方です。
2018年6月以降、歯科医院のホームページは広告として規制され、原則として法令で列挙された事項しか書けません。ただし「限定解除」という仕組みがあります。
問い合わせ先を明記し、自由診療については治療内容・費用・期間と回数・リスクを同じページに載せれば、自由診療の詳しい説明や症例も掲載できます。検索する人が知りたい情報を出すことと規制を守ることはこの限定解除で両立する、というわけです。
今回は歯科医院の院長とWeb担当者に向けて、広告規制と限定解除の仕組みから、キーワードの選び方・各ページの書き方・口コミの扱い・リスティング広告とGoogleビジネスプロフィールの注意点までを解説します。
柔道整復師の整骨院や国家資格によらない整体院は規制の構造がまったく違うので、それぞれ「整骨院のSEO対策」「整体院のSEO対策」をご覧ください。SEOそのものの基礎は「SEOとは」で解説しています。
この記事でわかること
- 歯科医院のホームページが医療法上の「広告」になる仕組みと限定解除の4要件
- 「歯医者」と「歯科」の地域差など当社ツールの検索数データで見るキーワードの考え方
- 診療科名・自由診療・症例写真・専門医の表示など限定解除を満たすページの書き方
- 使えない表現と口コミ・体験談の扱い、リスティング広告とGoogleビジネスプロフィールの注意点
おすすめの読者層
- 医療広告の規制を守りながらホームページの情報を充実させたい歯科医院の院長
- 自由診療のページやリスティング広告の表現を見直したい歯科医院のWeb担当者の方
1. 歯科のSEOで最初に押さえること(ホームページも医療法上の広告)
厚生労働省の医療施設調査によれば、歯科診療所は令和5年(2023年)10月時点で全国に66,818施設です。平成29年(2017年)の68,609施設をピークに減少が続いています。
歯科医師数も令和6年(2024年)末に103,652人と、令和2年(2020年)の107,443人をピークに減っています(医師・歯科医師・薬剤師統計)。そして歯科医院には、医療広告の規制というほかの業種にはない前提があります。
出典: 厚生労働省「令和5年医療施設調査・病院報告の概況」統計表1、同「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
歯科医院のホームページは2018年6月から「広告」
歯科のSEOがほかの業種と決定的に違うのは、自院のホームページそのものが医療法の「広告」として規制されていることです。平成29年法律第57号の医療法改正で規制の対象が「誘引するための手段としての表示」全般に広がり、平成30年(2018年)6月1日の施行からホームページも規制対象になりました。
ちなみに整骨院(接骨院)では、あはき・柔整広告ガイドラインが「施術所のウェブサイトは原則として広告に当たらない」と整理しています。歯科はこの正反対です。誘引性(受診を誘う意図)と特定性(医院名が分かる)を満たす歯科医業に関する表示は、ホームページを含めてすべて医療広告です。
医療広告では、限定解除をしなければ医療法6条の5第3項と厚生労働省告示で列挙された事項しか書けません。例えば診療科名や医院の名称・所在地・診療時間、保険医療機関である旨や設備です。
歯科医師の氏名・略歴・専門性資格、保険診療の治療方法や支払方法も書けます。自由診療は原則としてこの一覧にありません。
例外は、保険診療と手技が同じものや承認された医薬品・医療機器を使うものについて「保険が適用されない旨」と標準的な費用を書く場合です。治療の効果もこの一覧になく、患者の体験談や他院との比較は限定解除しても禁止されたままです(後述)。
限定解除の4要件で自由診療の情報を載せられる
もっとも、それだけでは患者が求める詳しい情報を出せません。そこで設けられたのが「限定解除」です。医療法施行規則1条の9の2は、次の4つの要件を満たす場合に広告可能事項の限定が外れると定めています。
| 要件 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| ① | 患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等であること | すべての場合 |
| ② | 問い合わせ先(電話番号やメールアドレス)を明示すること | すべての場合 |
| ③ | 通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間及び回数を示すこと | 自由診療を載せる場合 |
| ④ | 主なリスク・副作用を示すこと | 自由診療を載せる場合 |
①を満たすのは患者が自分で見に来るホームページなどで、バナー広告やリスティング広告は満たしません(第5章)。
②は「予約専用」とだけ書いて問い合わせを受けない番号や、自動音声だけで折り返しのない番号、受付の自動返信しか来ないメールアドレスでは認められません。③④は同じページに書きます。
文字は利点や長所の説明と比べて極端に小さくせず、背景と見分けやすい色にします。別ページに置くのは不可で、「デメリットは〇〇」と1〜2行書くだけでも要件を満たしません。
この場合、SEOの観点で大切なのは限定解除の要件は「検索する人が知りたい情報を具体的に書く」ことと同じ方向を向いているという点です。例えば、インプラントを検討する人は費用の総額・期間・回数・リスクを知りたくてページを読みます。
それを省かずに書くことが規制上の要件でありページの充実でもある、というわけです。
限定解除しても書けないものと罰則
限定解除は「書ける事項の範囲」を広げるだけです。虚偽・比較優良・誇大の広告や患者の体験談、説明を付けていない治療前後の写真の禁止(第3章・第4章)は残ります。罰則は虚偽広告が6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(医療法87条1号)。
それ以外の違反も都道府県等の是正命令に従わなければ同じ罰則の対象になります。
厚生労働省のネットパトロール事業では、令和7年度(2026年2月28日時点)に歯科の377サイトで1,159件の違反が指摘されました。
最も多いのは「広告可能事項以外の広告」373件で、限定解除の要件を満たさないまま自由診療などを載せているものです。令和5年度の集計では歯科の違反の約6割が「審美」と「インプラント」の広告でした。
出典: 医療法 第6条の5・第6条の8・第87条、医療法施行規則 第1条の9・第1条の9の2、厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)、同「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」Q3-9・Q6-10〜12、厚労省 第7回医療広告等分科会 資料2(令和7年度)、同 第4回 資料2-3(令和5年度)
2. 歯科のキーワードの考え方
歯科医院を探す人の検索は、次のように分けられます。
- 「〇〇 歯医者」のように場所から探す
- 「歯科 近く」のように現在地から探す
- 「大阪 矯正歯科」のように治療名と地域を組み合わせる
- 「歯列矯正 費用」のように治療を調べる
「歯医者」と「歯科」は地域によって検索されやすい呼び方が違う
「歯医者」と「歯科」のどちらが使われるかは地域で差があります。両方に検索数がある地域を調べました。
| 地域 | 「〇〇 歯医者」 | 「〇〇 歯科」 | 多い呼び方 |
|---|---|---|---|
| 大阪 | 2,880 | 472 | 歯医者 |
| 大宮 | 4,320 | 472 | 歯医者 |
| 町田 | 1,520 | 312 | 歯医者 |
| 広島 | 384 | 256 | 歯医者 |
| 福岡 | 472 | 704 | 歯科 |
| 京都 | 704 | 1,280 | 歯科 |
※当社ツール「aramakijake.jp」によるGoogleの月間推定検索数(2026年9月25日調べ)。推定値なので、実際の検索回数とは異なる場合があります。
大阪・大宮・町田・広島では「歯医者」が多く、福岡・京都では「歯科」が多いという結果です。ページの本文や説明文では、自院の地域で検索されやすい呼び方を自然に使うことができます。例えば大宮の医院なら本文で「歯医者」、京都の医院なら「歯科」を使う、ということです(名称や診療科名は法令の表記。第3章)。
「近く」の検索と治療名の検索
地域名を付けない検索も同じツールで調べました。
- 「歯科 近く」11,840回
- 「親知らず 抜歯」108,000回
- 「ホワイトニング 歯医者」17,760回
- 「歯列矯正 費用」7,920回
現在地から探す人にはGoogleマップの枠が出るので、第5章のGoogleビジネスプロフィールも整えます。保険診療の治療名は広告可能事項に含まれるため、説明ページを作りやすいキーワードです(第3章)。
治療名+地域名のキーワードは限定解除が前提
自由診療の治療名と地域名の組み合わせも調べました。
- 「大阪 矯正歯科」3,520回
- 「横浜 矯正歯科」2,320回
- 「大阪 インプラント」1,920回
- 「横浜 インプラント」704回
大阪ではいずれも「大阪 歯科」の472回を上回っています。治療名で医院を探す人が一定数いる、というわけです。
ただし、自由診療の治療名でページを作る場合は限定解除の4要件を満たすことが前提です。要件を満たさない治療ページは第1章で見た歯科で最も多い違反の類型そのものです。治療名のページは検索需要があると同時に規制の中心でもある、というわけです(書き方は第3章)。
ちなみに、「痛くない治療」は科学的根拠がなく虚偽・誇大のおそれがあるとして厚生労働省のQ&A(Q3-22)で広告できないとされています。なので、歯科医院のサイトで「〇〇市 痛くない歯医者」のようなページを作ることはできません。
出典: Q&A Q3-22
3. 歯科のサイトに必要なページと限定解除を満たす書き方
歯科医院のサイトの主なページごとに規制上の書き方を整理します。
診療科名と医院名は法令の表記だけを使う
歯科医業で標榜できる診療科名は、医療法施行令で「歯科」とこれに小児や矯正・口腔外科を組み合わせた名称に限られています。ガイドラインの例示は「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」と組み合わせの「小児矯正歯科」です。
「審美歯科」「インプラント科」は法令に根拠がなく、診療科名として認められていません。認められていない診療科名を医院名に使うこともできません。医院名に「〇〇センター」を付けることも原則として誇大広告です。
例えば「△△インプラントセンター」は、医院名でも「〇〇歯科医院」への併記でも事例解説書のNG例です。
この場合、ホームページで「審美歯科」の語を使う余地はあります。ただし提供する治療(セラミックやホワイトニングなど)を具体的に書き、治療ごとに限定解除の要件を満たす必要があります。中身が不明確なままでは誇大広告になります。
出典: 医療法施行令 第3条の2、厚生労働省「広告可能な診療科名の改正について」、厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」p.13・p.50、Q&A Q6-2・Q6-5
自由診療ページは費用・期間・回数・リスクを同じページに書く
自由診療ページは限定解除の③④を満たす書き方にします。事例解説書はインプラントを例に、「治療期間は患者様の状態により異なります」や「インプラント 150,000円〜」のような最低金額だけの表示を不十分としています。
改善例では、費用を「総額(1歯欠損の場合)20万〜30万円」と幅で示して内訳を書き、期間と回数を「3〜6か月・5〜6回」としています。リスクは痛み・腫れ・出血・感染などを挙げています。
追加費用も含め、複数の治療をまとめずに治療ごとに書きます。
国内で承認されていない医薬品・医療機器を使う場合は、さらに注意が必要です。個人輸入した装置・薬剤や承認と異なる使い方も含めて、4要件に加えて次の5点を同じページに書く必要があります。
- 未承認であること
- 入手経路(個人輸入ならその旨と厚生労働省の注意喚起ページの案内)
- 同じ成分・性能の国内承認品の有無
- 海外での承認状況と主な副作用
- 医薬品副作用被害救済制度の対象外であること
マウスピース型矯正装置やホワイトニング剤は製品によって承認の有無が異なるので、製品ごとに確認してください。
「今なら〇円」「〇〇し放題」のような費用の強調やモニター価格・来院プレゼントは、品位を損ねる広告として厳に慎むべきとされています。支払方法(クレジットカードや分割払いの可否)は広告可能事項に含まれるので書けます。
ただし「月々〇円〜」のように月額だけを大きく出すと費用の強調と受け取られうるので、総額と回数を同じ大きさで併記します(月額表示を直接扱った資料はなく、迷う場合は専門家に確認)。
ホワイトニングでは、医療広告の規制とは別に特定商取引法にも注意が必要です。美容目的のホワイトニング(漂白剤を塗る方法)を期間1か月超・総額5万円超のコースで契約する場合は、特定商取引法の「特定継続的役務」に当たります。
この場合、契約書面の交付やクーリング・オフなどのルールがかかります。歯列矯正は対象に挙がっていません。治療目的を兼ねる場合の線引きは専門家に確認してください。
出典: 事例解説書(第6版)p.39–48・p.51–53、ガイドライン 第3-1の1(3)・(8)・第3-2の4(16)・第3-3の2、Q&A Q2-14、特定商取引法施行令 第24条・別表第四、特定商取引法施行規則 第91条
症例写真(ビフォーアフター)は写真ごとに説明を付ける
治療前後の写真は医療法施行規則1条の9第2号で「治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等」として禁止されています。
ただし、写真ごとに通常必要な治療内容・費用・治療期間と回数・主なリスクや副作用を写真の近くに書けば、この禁止には当たりません。術前だけや術後だけの写真も同じ扱いです。
説明をリンク先に置くことや複数の写真に一つの説明で済ませることは不可で、加工・修正した写真は虚偽になります。症例紹介に「痛みがなくなったとお話しされました」のような患者の言葉を入れると、体験談として禁止されます(第4章)。
出典: ガイドライン 第3-1の1(7)、Q&A Q2-8、事例解説書(第6版)p.29–32
院長・スタッフ紹介と専門医の表示
Googleの検索品質評価ガイドラインは健康に大きく影響しうるテーマを「YMYL」と呼び、E-E-A-Tのうち信頼性を最も重視するとしています。院長・スタッフ紹介で広告できるのは、氏名・役職・略歴(出身校・免許取得日・勤務歴など)と写真です。
専門医として広告できるのは、一般社団法人日本歯科専門医機構が認定する専門性(8つの基本的な診療領域)と経過措置で認められている5学会の専門医です。
いずれも「日本歯周病学会認定 歯周病専門医」のように認定した団体名と資格名をセットで書く必要があります。単に「〇〇専門医」と書くのは誇大広告、「厚生労働省認定〇〇専門医」は虚偽広告です。
機構の認定を受けた場合は同じ領域の学会の専門医を併せて書くことはできません(経過措置あり)。「認定医」「指導医」は広告可能事項ではありませんが、ホームページで限定解除すれば掲載できます。
ただし、活動実態のない団体や自院の関係者が実質的に運営する団体の認定は誇大広告になります。
出典: Google「検索品質評価ガイドライン」、ガイドライン 第3-1の1(3)・第3-2の4(9)、厚生労働省「広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について」、Q&A Q3-5・Q3-6・Q3-13、事例解説書(第6版)p.35・p.37
設備紹介と保険診療の治療ページ
設備は一般的な名称・写真・導入台数・導入日を書けます。販売名や型式番号は限定解除しない限り書けません。「最新」は根拠を示せる場合に限ります。
むし歯治療・歯周病治療・根管治療・入れ歯・親知らずの抜歯といった保険診療の治療名は広告可能事項に含まれます。保険診療の範囲の説明であれば、限定解除の③④がなくてもページを作れます。
ただし、同じページで自費の選択肢(自費の入れ歯や精密根管治療・セラミックなど)を紹介する場合は、その自費の治療ごとに内容・費用・期間と回数・リスクを同じページに書く必要があります。
「完全に治る」のような効果の断定やリスクを強調して受診を急がせる表現は誇大です。「歯が痛い原因」のような症状解説のコラムも同じ規制がかかる前提で書き、特定の自由診療への誘導にしません(一次資料がないので迷う場合は専門家に確認)。
出典: ガイドライン 第3-1の1(3)・第3-2の4(8)・(13)・第3-3の2、Q&A Q2-1・Q2-15

4. 使えない表現と口コミ・体験談の扱い
「痛くない」「最先端」「No.1」などの使えない表現
歯科医院のサイトで使われがちな表現の可否を厚生労働省の資料に沿って整理します。
| 表現 | 可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 「痛くない治療」 | 不可 | 科学的根拠がなく虚偽・誇大のおそれ(Q3-22) |
| 「無痛治療」 | 避ける | 医院名としての「無痛治療病院」は認められない(Q6-3)。名称以外を直接扱ったQ&Aはないが、Q3-22と同じ理由で当社は使わないことをおすすめする(迷う場合は専門家に確認) |
| 「地域No.1」「日本一」「最高」 | 不可 | 比較優良。客観的事実でも禁止。URLでの暗示も不可(ガイドライン第3-1の1(2)) |
| 「最先端」「最適」 | 不可 | 誇大(Q2-2) |
| 「満足度99%」「成功率97%」 | 原則不可 | 根拠や調査方法を示さなければ虚偽。結果そのものは広告可能事項ではなく、限定解除したサイトでも客観的な根拠が必要(Q2-17)。当社は載せないことをおすすめする |
| 手術件数「年間〇〇件」 | 条件付き | 医院として行った広告可能な手術(インプラント埋入など)に限り、対象期間を暦月で併記し、件数を公表する。歯科医師個人の件数は、限定解除したサイトで根拠を示せる場合を除き不可(Q3-16・Q3-17)。手術でない矯正などの「症例数」はこの枠で書けない |
医療法で禁止される虚偽・誇大な表示は景品表示法の優良誤認にもなる可能性が非常に強い、とガイドラインは述べています。例えば「〇〇市で症例数No.1」は本当だとしても医療法で書けず、景品表示法でも根拠資料の提出を求められます。
出典: ガイドライン 第3-1の1(1)〜(3)・第3-2の4(14)ア・第5の3、Q&A Q2-2・Q2-3・Q2-16・Q2-17・Q3-16・Q3-17・Q3-22・Q6-3、事例解説書(第6版)p.6–15・p.22・p.67、景品表示法 第5条・第7条
患者の体験談は自院サイトに載せられない
治療の内容や効果に関する患者の体験談は医療法施行規則1条の9第1号で禁止されています。
限定解除しても解除されないので、歯科医院は治療の内容や効果に触れる患者の声を、「患者様の声」ページにもGoogleの口コミの転載にも院内アンケートの写真にも載せられません。
接遇だけの感想でも良いものを選んで載せると誇大広告になりうる(Q&A Q2-9)ため、当社は「患者様の声」ページ自体をおすすめしていません。
第三者の口コミサイトに患者が自分の意思で書いた体験談は、医院の影響を受けていない限り広告に当たりません。
ただし、医院が謝礼などの便宜を図って掲載を依頼した場合や謝礼がなくても肯定的な投稿を依頼した場合は、その口コミにも誘引性が生じます(Q&A Q1-18)。「口コミを載せて信頼性を高める」という施策は歯科では成立しない、というわけです。
出典: ガイドライン 第3-1の1(6)、Q&A Q1-18・Q2-9・Q2-11、事例解説書(第6版)p.23–28・p.62・p.69・p.73
口コミの依頼とスマイルスクエアへの措置命令
厚生労働省のQ&A(Q1-18)は、医療機関を検索できるウェブサイトの体験談についてこう整理しています。
医療機関が患者やその家族に肯定的な体験談の投稿を依頼した場合、謝礼の有無にかかわらず誘引性が生じ、その口コミは医療機関の広告とみなされるという内容です。
Googleマップの口コミもこの「医療機関を検索できるウェブサイト」に当たると考えるのが自然です。中立的な依頼の扱いは一次資料では確定できないため、当社は歯科医院が口コミの投稿を依頼することをおすすめしていません。
患者が自分の意思で投稿できる状態にし、投稿には返信する運用にとどめます。否定的な口コミの削除を依頼することも、名誉毀損など不法行為に当たるものを除いて控えます。
医療機関の依頼で否定的な口コミが削除されると残った口コミに誘引性が生じる、とQ1-18が整理しているためです(Googleマップへの当てはめを明示した資料はないので、迷う場合は専門家に確認)。
実例があります。歯列矯正を行う医療法人社団スマイルスクエアは、来院者にGoogleマップの口コミ欄に星5の評価を投稿することを条件に、5,000円分のQUOカードの提供か治療費5,000円の割引を伝えていました。
消費者庁は令和7年3月17日、これを景品表示法のステルスマーケティング告示に該当する表示として措置命令を出しました。医療法の体験談の禁止と景品表示法のステマ規制は別々に重ねて適用されます。
なお、Googleのユーザー投稿コンテンツのポリシーも、口コミと引き換えの割引などのインセンティブの提供や肯定的な口コミだけを選んで依頼することを禁止しています。
出典: Q&A Q1-18、事例解説書(第6版)p.26、消費者庁「医療法人社団スマイルスクエアに対する景品表示法に基づく措置命令について」、消費者庁 ステルスマーケティング告示の運用基準、Google「マップのユーザー投稿コンテンツに関するポリシー」

5. リスティング広告・SNS・Googleビジネスプロフィール
リスティング広告は広告文とリンク先で扱いが違う
リスティング広告やバナー広告は限定解除の要件①を満たしません。なので、広告文やバナーそのものには広告可能事項しか書けません。
見出し・説明文だけでなく、価格・コールアウト・画像などの広告アセットと表示URLも広告の一部なので同じ範囲に限られます。効果・症例(術前術後の写真を含む)・体験談・他院との比較・キャンペーンはいずれも不可です。
自由診療を広告文に書けるのは、保険診療と手技が同じ自由診療(ガイドラインは「歯列矯正」を例示)と、国内で承認された医薬品・医療機器を承認の範囲で使う自由診療(承認されたインプラントなど)に限られます。
その場合も「公的医療保険が適用されない旨」と「標準的な費用」を併記する必要があります。未承認の装置や薬剤(個人輸入を含む)を使う治療は、矯正やホワイトニングであっても広告文には書けません。
「審美治療」も指す治療が不明確なので広告文には書けません。
一方、広告のリンク先である自院のホームページは「患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト」に当たり、限定解除の要件を満たせば自由診療の詳しい情報を載せられます。
Q&A Q1-7はバナー広告のリンク先についてこう整理しており、事例解説書もリスティング広告の遷移先を同じ扱いで図示しています。この場合、広告文は広告可能事項の範囲で書き、詳しい説明はリンク先の限定解除したページで行うという分担になります。
ちなみに、整骨院では広告のリンク先も広告と一体とみなされます。この点も歯科と整骨院で逆です。ただし、広告専用のLPがQ1-7の「リンク先のウェブサイト」に当たるかは一次資料で確認できないので専門家に確認してください。
出典: ガイドライン 第3-1の1(2)・(5)・第3-2の4(13)・第3-3の2、Q&A Q1-7・Q3-9・Q3-18、事例解説書(第6版)p.10–11・p.55–56
SNSの投稿は1投稿ごとに規制がかかる
医院公式のSNSアカウントも医療広告で、プロフィール・投稿・返信・動画のすべてが対象です。
自由診療を紹介する投稿は「詳細はホームページで」とリンク先に回すのではなく、その投稿の中で治療内容・費用・期間と回数・リスクまで一体的に示す必要があります。他人の投稿の引用による体験談の紹介も違反です。
例えば、事例解説書のホワイトニング動画の例では「最先端のホワイトニング技術」「症例1,000件」「¥20,000〜」を含む形が違反とされています。
Googleビジネスプロフィールはビジネス名を正式名称だけにする
「〇〇 歯医者」「歯科 近く」で表示される地図と医院一覧の枠(ローカルパック)の情報源が、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)です。
Googleはローカル検索の結果を主に「関連性」「距離」「知名度」で決めるとしています。仕組みは「ローカルSEOとは」と「SEOとMEOの違い」で説明しています。
ビジネス名は正式な医院名だけにします。Googleのガイドラインがキーワードや宣伝文句の追加を禁止していることに加え、医療法の広告でも正式名称にほかの名称を併記することや、認められていない診療科名を名称に使うことはできません(Q&A Q6-2・Q6-5)。
例えば「〇〇歯科 インプラント・矯正 △△駅前」のような登録は両方に触れます。住所・電話番号・診療時間はサイトの表記と一致させます。カテゴリは「歯科医院」を基本に、実際の標榜に合う「矯正歯科」「小児歯科」「口腔外科」などを選びます。
「審美歯科」や「インプラント」を名乗るカテゴリは検索結果で診療科名のように表示されるので、当社は選ばないことをおすすめします(GBPのカテゴリを扱った一次資料はないので、迷う場合は専門家に確認してください)。
厚生労働省の資料にはGoogleビジネスプロフィールを扱った記述がなく、限定解除の要件①を満たす媒体かは確認できていません。ここからは当社の運用上の考え方です。
医院が入力する内容は医療広告の規制対象になると考え、説明文・投稿・写真・サービス欄は広告可能事項の範囲にとどめることをおすすめします。術前術後の写真は載せません。
料金を載せるのは、広告文と同じく「自由診療である旨」と標準的な費用を併記できる治療(本章冒頭)に限ります。返信でも投稿者が書いていない治療内容や効果には触れません。
ちなみに、Google検索の仕様で誤解が多い点が2つあります。自社サイトに載せた自社への口コミにレビューの構造化データを付けても星評価のリッチリザルトの対象外で、FAQリッチリザルトは2026年5月7日以降、Google検索に表示されなくなりました。
出典: Google「ローカル検索結果のランキングを改善するヒント」、Google「ビジネス情報のガイドライン」、Q&A Q3-18・Q6-2・Q6-5、事例解説書(第6版)p.50、Google検索セントラル「レビュー スニペット」、Google検索セントラル「最新情報」(2026年5月8日・6月15日の項目)
6. 歯科のSEO対策についてよくある質問
Q1. 症例写真を載せるには何を書けばよいですか?
写真ごとに、その症例の治療内容・費用・治療期間と回数・主なリスクや副作用を写真の近くに読みにくくない大きさで書きます。別ページの説明や複数の写真に一つの説明は不可で、加工した写真は使えません。患者の感想は体験談になるので入れないでください。
Q2. Googleの口コミをホームページに載せてもよいですか?
できません。治療の内容や効果に触れる患者の体験談は限定解除しても禁止されたままです。例えば全文転載も良い口コミの抜粋も口コミウィジェットの埋め込みも同じです。また、患者に肯定的な口コミの投稿を依頼すると謝礼がなくてもその口コミは医院の広告とみなされます。
Q3. リスティング広告の広告文にインプラントの費用を書けますか?
国内で承認された医療機器のインプラントを承認の範囲で使う治療であれば、「自由診療(保険適用外)である旨」と「標準的な費用」を併記する形で書けます。ただし、製品の販売名は広告文に入れられません。
個人輸入したインプラントを使う場合はこの形でも書けません。費用は「〇円〜」の最低額だけではなく、幅や総額の目安で示します。詳しい説明はリンク先の限定解除したページで行います。
7. まとめ
- 歯科医院のホームページは2018年6月から医療法の「広告」。限定解除の4要件を満たせば自由診療の詳しい情報を載せられる。未承認の装置・薬剤を使う治療はさらに5項目が必要。整骨院とは正反対
- 診療科名は「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」とその組み合わせだけ。「審美歯科」「インプラント科」は不可。専門医は団体名と資格名をセットで書く
- 自由診療ページと症例写真は、費用の幅と内訳・期間・回数・リスクを同じページに写真ごとに書く。保険診療のページの自費メニューも同じ。治療名のページは限定解除が前提
- 「痛くない」「最先端」は使えず、「No.1」などの比較優良は事実でも使えない。体験談・口コミの転載は禁止。肯定的な口コミの依頼は謝礼がなくても広告扱い。星5を条件に割引を伝えた歯科医院には措置命令が出ている
- リスティングの広告文・アセット・表示URLは広告可能事項のみ、リンク先の自院サイトは限定解除できる。SNSは1投稿で完結させる。ビジネス名は正式名称だけにし、カテゴリに「審美歯科」は選ばない
歯科のSEOは、限定解除の要件に沿って「何の治療を・いくらで・どのくらいの期間と回数で・どんなリスクとともに・誰が行うのか」を正確に書く積み重ねです。他業種は「業種別SEO対策ガイド」をご覧ください。
SEO対策しても検索順位が上がらない…なぜ?
SEO対策しても検索順位が上がらない…なぜ?
検索順位が上がらない理由は、SEO対策の質が低いからです。
例えば、ユーザーの検索意図を無視したり、関連性の低いコンテンツを増やす、内部リンクの最適化など疎かにします。
この場合、SEO対策の質が下がります。
そうなれば、ページやサイト自体の品質が上がらないので、Googleに評価されづらくなります。
結果、検索順位が上がらないというわけです。
こうした悪い状況を回避する為に、サイトの欠点を調査して上位化に必要な対策をご案内します(無料)。
検索順位を上げたり、検索流入を増やすにはSEOが重要!


